英語12時制を一望する地図——つまずきやすい時制を3つ深掘り
【初級者向け】英語教師 Thiago Nigro が解説する「12時制の全体像」を紹介。現在完了・過去完了・現在完了進行形など、日本人初級者がつまずきやすい時制を3つ厳選して、形・意味・使い方をやさしく解説します。TOEIC〜500 向け。
対象レベル: 初級 / 目安: TOEIC 〜500, CEFR A2–B1
はじめに:時制に自信がありますか?
「現在完了と過去形、どう違うんだっけ?」「過去完了って存在は知っているけど、いつ使えばいいかわからない。」——そんなモヤモヤを抱えたまま英語を使い続けていませんか?
中学高校で一応は習ったけれど、いざ使おうとすると手が止まる。時制のあやふやさは、会話でも英作文でも気になるものです。日本語と英語では時間の捉え方が違うため、いくら単語を覚えても時制が曖昧だと意味が伝わりにくくなります。
今回の動画では、英語教師の Thiago Nigro が 12 時制すべてを一気に概観してくれます。一つ一つを完璧に学ぼうとするより、まず全体像を「地図」として持つことで、自分が今どこにいるかがわかり、学習の見通しが立ちます。本記事では動画の内容を整理しつつ、特に日本人初級者がつまずきやすいポイントに焦点をあてて解説します。
Thiago Nigro ってどんな人?
Thiago Nigro は「English with Thiago」というポッドキャスト・YouTube チャンネルを運営している英語教師です。中級〜上級の学習者を主なターゲットにしていますが、今回の動画は基礎文法の全体像を扱うため、初級者にも十分参考になります。動画の中で彼は、この 12 時制の表を初めて見たとき「自分の英語学習を変えてくれた」と述べています。母語が英語ではない講師ならではの、学習者目線のわかりやすい説明が魅力です。
12 時制の全体像:3×4 の骨格

英語の時制は一見たくさんあるように見えますが、整理してみると非常にシンプルな仕組みでできています。Thiago は動画の中で、12 時制を「3 つの時間軸」×「4 つのアスペクト(側面)」で整理しています。一覧表で見ると分かりやすいので、頭の中にこのマトリクスを置いておくと、知らない時制に出会ったときも「ああ、過去の進行形だな」「これは未来完了か」と落ち着いて分類できます。
3 つの時間軸は現在(present)・過去(past)・未来(future)。この 3 つに対して、それぞれ 4 種類の「アスペクト」が掛け合わさります。
4 つのアスペクト:
- 単純形 ——行為の事実を述べる
- 進行形 ——行為が「進行中」であることを強調する
- 完了形 ——行為が完結していることを示す
- 完了進行形 ——行為がある時点まで継続していたことを示す
3×4 = 12。これだけです。Thiago はこの骨格をまず頭に入れたうえで、まずは単純形から、次に進行形、そして完了形・完了進行形の順に学ぶことを勧めています。
なぜ日本人学習者が時制でつまずくかというと、日本語には英語ほど細かい時制の区別がないからです。日本語では「した」「している」「していた」程度の区別で済むものが、英語では時間軸とアスペクトの組み合わせで 12 通りに枝分かれします。最初は分類が多く感じますが、骨格を持つだけで一気に整理されます。
日本人がつまずきやすい時制を3つ深掘り
全 12 個を一度に覚えようとすると混乱します。Thiago が「会話で最もよく使われる」と強調していた現在系 4 つのうち、初級者が特に戸惑いやすい 3 つを取り上げます。
なぜこの 3 つかというと、いずれも日本語の文法体系には対応する明確な時制がないからです。日本語では「〜した」「〜していた」「〜していたところだった」程度の区別で表現してしまうものを、英語では別々の時制で言い分けます。学校の授業で形は習ったけれど意味が腹落ちしていない、という方が多い領域です。
現在完了(present perfect)——「いつ?」を言わない過去
形: have / has + 過去分詞
例文: I have seen that movie.(その映画を見たことがあります。)
ポイント: 過去に起きた出来事なのに、「いつ」を言わない点が日本語にはない感覚です。
Thiago は動画の中で、現在完了は「いつやったかを言わない過去の行為」に使うと説明しています。勉強した事実は言うが、いつ勉強したかは述べない——これが現在完了の核心だと述べています。日本語の「〜したことがある」「〜してしまった」「〜したばかりだ」など、複数の表現にまたがる感覚をひとまとめにしている時制、と考えるとイメージしやすいかもしれません。
一方、「昨日勉強した」のように具体的な時点を言うときは過去形(simple past)を使います。ここが混乱しやすい分岐点です。文中に yesterday、last week、in 2020 のような明確な過去の指示語があれば過去形、なければ現在完了——という見分け方が、初級者にとって最初の手がかりになります。
- 現在完了: I have eaten sushi.(食べたことがある。いつかは言わない。)
- 過去形: I ate sushi yesterday.(昨日食べた。時点が明確。)
過去完了(past perfect)——「過去の中のさらに過去」
形: had + 過去分詞
例文: I had studied before the test.(テストの前に勉強してあった。)
ポイント: 過去の出来事を 2 つ並べるとき、より前に起きたほうを過去完了で表すのが英語のルールです。
Thiago は過去完了を「過去の中の、さらに前の過去」と表現して説明しています。過去に起きた 2 つの出来事のうち、先に終わっていたほうに had + 過去分詞を使うイメージです。時系列で言えば、「より昔のほう」を一段深く沈める時制と考えるとわかりやすいでしょう。日本語では普通の過去形でも文脈から先後関係が伝わりますが、英語では時制を使い分けて関係を明示します。日記やストーリーを書くときに重宝する時制です。
- I had finished my homework when she came home.(彼女が帰宅したとき、私は宿題をすでに終えていた。)
- I was finishing my homework when she came home.(彼女が帰宅したとき、私は宿題を仕上げているところだった。)
上が過去完了(完了・終了)、下が過去進行形(進行中)。動詞の形がほんのわずか変わるだけで、状況の意味がガラリと変わります。日本語訳を見比べると、「すでに終えていた」と「仕上げているところだった」というニュアンスの差が伝わるはずです。
現在完了進行形(present perfect continuous)——「ずっと〜している」の強調
形: have / has been + 動詞の ing 形
例文: I have been working on this report all morning.(午前中ずっとこの報告書に取り組んでいます。)
ポイント: 現在完了と似ていますが、こちらは行為の継続時間や持続感を強調します。
Thiago は、現在完了進行形の焦点は「行為そのもの」ではなく「その行為がどれだけ続いているか」にあると説明しています。for や since を使って期間・起点を添えるのが典型的なパターンです。日本語で言えば「ずっと〜している」というニュアンスが近く、現在もまだ続いている動作・状態を表すのに使われます。
- I have practiced yoga.(ヨガをやったことがある。——経験を述べる)
- I have been practicing yoga for three years.(3 年間ずっとヨガを続けている。——継続期間を強調)
「How long have you been learning English?(英語をどのくらい学んでいますか?)」のような質問で自然に使われる時制です。
Key phrases:時制をつかむ副詞
時制を正しく選ぶためのヒントになる副詞や前置詞を覚えておきましょう。これらの語が文中にあると、自然と特定の時制と組み合わさることが多く、聞いたり書いたりするときの「目印」として機能します。とくに for と since は混同しやすいので、最初にしっかり区別しておくと後の学習が一気にスムーズになります。
for(〜の間)
期間の長さを表します。「for 2 hours(2 時間)」「for three years(3 年間)」のように使います。現在完了・現在完了進行形・過去完了進行形などとセットで登場します。
使用例: I have been waiting for 30 minutes.(30 分待ち続けています。)
since(〜以来)
過去の起点を示します。「since 2020(2020 年以来)」「since this morning(今朝から)」のように使います。for が「期間の長さ」、since が「いつから」という違いを押さえておくと便利です。
使用例: She has lived here since 2018.(彼女は 2018 年からここに住んでいます。)
by the time(〜するころには)
未来のある時点を基準に「そのときまでに完了している」ことを表すときに使います。未来完了(future perfect)の文に頻出です。
使用例: I will have finished this report before the deadline.(締切までにこの報告書を仕上げているでしょう。)
Today's Challenge
まず次の 2 文を読んでみましょう。
I studied English last night. I have studied English many times.
(昨夜英語を勉強しました。英語は何度も勉強したことがあります。)
1 文目は「昨夜(last night)」という時点があるので過去形。2 文目は「何度も(many times)」という経験で時点が不明なので現在完了です。この「時点があるかどうか」を見極めることが、過去形と現在完了の使い分けの最大のコツです。
今日のミニ課題はこちらです。あなたが過去に経験したことを 1 つ選び、現在完了で 1 文書いてみましょう。たとえば「海外に行ったことがある」「ある映画を 5 回観たことがある」「ピアノを習ったことがある」など、何度繰り返したかや、いつかは特定しなくてよい経験を選びます。書けたら声に出して読み、最後に過去形に書き換えてみてください。「いつ」を加えるとどう変わるか、肌感覚で違いがつかめてきます。
まとめ
英語の 12 時制は、一見複雑に見えますが「3 つの時間軸 × 4 つのアスペクト」というシンプルな骨格で整理できます。会話では特に現在系(単純現在・現在進行・現在完了・現在完了進行)が多用されると Thiago は指摘していました。まずはこの 4 つを使いこなせるようになることが、日常会話レベルの英語にとって最大のリターンになります。
今回取り上げた現在完了・過去完了・現在完了進行形の 3 つは、日本語にはない発想なので最初は難しく感じます。けれども「時点があるかどうか」「継続期間を強調しているか」「過去のさらに前の話か」という 3 つの問いを意識するだけで、使い分けが少しずつ見えてきます。完璧を目指すより、まずは使ってみて間違えながら身につけていきましょう。日々の英語学習のなかで「あ、今これは現在完了の場面だな」と気づける瞬間が増えてくれば、時制への苦手意識は確実に薄れていきます。
このトークで出てきた時制を単語カードで復習したい方は、YouTube 英単語帳メーカー で動画 URL を入力すると、CEFR レベル付きの単語帳を自動生成できます。ぜひ活用してみてください。
元動画は English with Thiago のチャンネル でご覧いただけます。