英語でも「丁寧語」はある——間接疑問文の仕組み

【中級者向け】「英語に敬語はない」は誤解。Thiago Nigroが解説するdirect vs indirect questionの対比から、ビジネス・初対面で失礼にならない英語の文法的仕組みを学びます。

Thiago Nigro / How To SOUND More POLITE in ENGLISH: Indirect vs Direct QuestionsEnglish with Thiago

対象レベル: 中級 / 目安: TOEIC 500〜700, CEFR B1–B2

「英語には敬語がない」とよく言われます。でも、外国人の同僚や取引先に英語で質問するとき、「この言い方は失礼に聞こえないだろうか」と不安になったことはありませんか?実は英語にも、相手との距離を保ちながら丁寧さを表現する文法的な仕組みが存在します。日本語の敬語システムとは違う形ですが、その効果は同等です。この記事では Thiago Nigro が解説する "direct questions"(直接疑問文)と "indirect questions"(間接疑問文)の対比を中心に、その仕組みと使い分けを整理します。

スピーカー:Thiago NigroEnglish with Thiago

Thiago NigroEnglish with Thiago チャンネルを運営する英語教師・コンテンツクリエイターです。中級・上級の英語学習者が自信を持って、正確に、そして場に応じた英語で話せるようになることをテーマに発信しています。今回の動画では "direct vs indirect questions" というテーマを取り上げ、なぜ間接疑問文が丁寧に聞こえるのか、その文法的な構造をどう作るかを、豊富な例とともに説明しています。

Direct questions とは何か

Thiago は動画の冒頭で、direct questions(直接疑問文)を「ストレートで遠回りのない質問」と定義しています。矢を的に向かって真っすぐ放つようなイメージです、と説明しています。

構造上の特徴は次のとおりです。

  • 疑問詞から始まるWhat, Where, When, Why, How など)open-ended な質問
  • 助動詞から始まるDo, Did, Are, Was, Were など)yes/no で答えられる質問
  • 文末は疑問符(?)で終わる

直接疑問文の例としては「名前は?」「住所は?」「いつ卒業しましたか?」のような形です。日本語に訳せば、いずれも極めて自然な質問です。

しかし英語で同じ感覚で投げかけると、相手によっては「尋問のように」響くことがある——というのが Thiago の指摘です。とくにフォーマルな場や、初対面・上下関係のある相手に対して、矢継ぎ早に直接疑問文を放つと、威圧的・取り調べ的な印象を与えてしまうケースがあります。たとえば採用面接でリクルーターが候補者に前職の退職理由を直球でぶつけたり、知らない人に道を聞くときにいきなり質問形を使ったりすると、距離感が崩れがちです。

Indirect questions:丁寧さの正体

Indirect questions(間接疑問文)は direct questions と同じ情報を求めながら、より丁寧で対立的でない印象を与えます。Thiago は「道を聞くとき、相手に要求するのではなく案内をお願いするような感覚」と説明しています。

間接疑問文は次のような 導入句(introductory phrase で始まります。

  • Could you tell me ...
  • Do you know ...
  • Would you mind ...
  • I wonder (if) ...
  • I'd like to know ...
  • I was wondering if ...

最大のポイント:語順が平叙文になる

ここが最も重要な文法ルールです。Thiago が動画で繰り返し強調しているのは、導入句の後ろは疑問文の語順ではなく、平叙文(affirmative sentence)の語順にするという点です。

例で見てみましょう。

Direct(疑問文の語順): Where is the meeting room?

Indirect(平叙文の語順): Could you tell me where the meeting room is?

注目すべきは、後半の語順が where is the meeting room ではなく where the meeting room is になっている点です。could you tell me が導入句として「疑問の役割」を担うため、後ろの節は平叙文の形にしなければなりません。Thiago は「一つの文に疑問詞(question word)は一つだけ」というルールで繰り返し強調しています。後半まで疑問文の語順にしてしまうと、よくある間違いになります。

もう一つの例:

Direct(疑問文の語順): When does the next train leave?

Indirect(平叙文の語順): Do you know when the next train leaves?

when does the next train leave ではなく when the next train leaves です。3人称単数現在の -s も忘れずに付けます。

Yes/No 質問の場合は if / whether を使う

Yes/No で答える direct question を間接形にするときは、導入句の後ろに if または whether を置き、その後を平叙文の語順にします。

パターン例:

Direct: Is this seat taken? Indirect: Could you tell me if this seat is taken?

Direct: Does the package arrive on Monday? Indirect: Do you know if the package arrives on Monday?

Direct: Can I leave early today? Indirect: I was wondering if I could leave a bit early today.

文末の句読点:? か . か

Thiago が「面白いポイント」として挙げているのが、文末の処理です。

  • 導入句自体が yes/no で答えられる形("Could you tell me ...?", "Do you know ...?"、"Would you mind ...?")の場合は ?(疑問符) で終わることもある
  • 導入句が陳述形("I wonder ...", "I'd like to know ...", "I was wondering ...")の場合は .(ピリオド) で終わる

たとえば I wonder if she will be available tomorrow. のような文は、情報を欲しがっているけれど形式的には陳述文なので、ピリオドで終わります。

日本語の敬語との比較

日本語では「〜でしょうか」「〜いただけますか」といった敬語フォームが動詞に付加されて丁寧さを表現します。英語の間接疑問文は、この役割を「導入句 + 平叙文語順」という構造で担っています。

いずれも共通しているのは「相手に直接命令・要求せず、相手の意思を尊重する形を取る」という機能です。日本語の敬語がゼロから英語で再現できると気づくと、英語でのコミュニケーションへの安心感が変わります。

いつ使う?場面別ガイド

Thiago は字幕の中で、間接疑問文が特に有効な場面として次の二つを挙げています。

  1. よく知らない相手と話すとき(初対面、見知らぬ人)
  2. 職場でプロフェッショナルな印象を与えたいとき(採用面接、上司・顧客対応)

逆に、親しい友人や家族との日常会話では、direct questions のほうが自然でテンポが良い場面が多くあります。場の公式さと相手との距離感に応じて使い分けることが大切です。


Key Phrases

"Could you tell me ...?"

Direct と Indirect の質問対比表。3 組の例文(Where is the meeting room? → Could you tell me where the meeting room is? など)が左右に並び、矢印で「soften」と接続される説明図
Direct(やや直接的)と Indirect(丁寧)の対比——導入句を付け、後ろは平叙文の語順にすることで丁寧さが生まれる

導入句の中でもっともよく使われる、汎用性の高いフレーズです。

Could you tell me where the meeting room is? (会議室はどこか教えていただけますか?)

Could you tell me what time the presentation starts? (プレゼンは何時に始まるか教えていただけますか?)

Could you tell me why you chose this approach? (なぜこのアプローチを選んだのか教えていただけますか?)

"I was wondering if ..."

過去進行形を使うことでさらに遠回しになり、ためらいや謙遜のニュアンスが加わります。依頼・お願いの場面で特に自然です。

I was wondering if you could review my report before Friday. (金曜日までに報告書をご確認いただけないかと思っていたのですが。)

I was wondering if you had any availability next week. (来週、ご都合のつく時間はおありでしょうか。)

I was wondering if it would be possible to reschedule our meeting. (ミーティングの日程を変更することは可能でしょうか。)

"Do you know ...?"

相手が知っているかどうかを確認しながら情報を求める、カジュアルかつ丁寧なフレーズです。

Do you know which floor the cafeteria is on? (カフェテリアは何階にあるかご存じですか?)

Do you know what time the office closes today? (今日、オフィスが何時に閉まるかご存じですか?)

Do you know if the client has confirmed the order? (クライアントが注文を確認したかどうかご存じですか?)

"Would you mind ...?"

相手の意思に敬意を表しながら依頼するフレーズ。"Would you mind + -ing" の形に注意してください。

Would you mind sharing your screen with us? (画面を共有していただけますか?)

Would you mind letting me know your availability next week? (来週のご都合を教えていただけますか?)

Would you mind waiting for a few minutes? (少々お待ちいただけますか?)


Today's Challenge

次のシナリオで考えてみましょう。あなたは新しい職場で初日を迎えました。上司や同僚に質問しなければならないことがいくつかあります。下記の direct questionsindirect questions に書き換えてから、声に出して練習してください。

変換前(Direct:

  1. "Where is the printer?"
  2. "What time does the team meeting start?"
  3. "Did you finish the report?"

変換後(Indirect)の例:

Could you tell me where the printer is? I was wondering what time the team meeting starts. Do you know if the report has been finished?

(プリンターがどこにあるか教えていただけますか?チームミーティングが何時に始まるのか気になっていました。報告書が完成しているかどうかご存じですか?)

3文で約30語。毎朝このように directindirect の変換を3〜5問やるだけで、ビジネス英語の丁寧さが自然に身についていきます。


まとめ

「英語に敬語はない」のではなく、間接疑問文という文法構造が敬語の役割を果たしているというのが今回の核心です。ポイントは二つ:導入句(Could you tell me / I was wondering if など)を付ける、そして後ろは平叙文の語順にする。この二つを押さえるだけで、英語でのコミュニケーションの印象が大きく変わります。

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元動画は English with Thiago のチャンネル でご覧いただけます。