単語が会話で出てこない悩みを3ステップで解消
【初級者向け】単語を覚えても会話で使えない——その理由と解決策を英語教師 Thiago Nigro が3ステップで解説。「受動語彙」を「能動語彙」へ移す具体的な方法を、TOEIC〜500の初級者向けにやさしく解説します。
対象レベル: 初級 / 目安: TOEIC 〜500, CEFR A2–B1
はじめに:「知っているはずなのに出てこない」あの感覚
英語で話そうとしたとき、頭が真っ白になる経験はありませんか?
単語帳を何度も見直した。フラッシュカードも作った。テストなら正解できる。なのに、いざ会話になると同じ単語ばかり繰り返してしまう。
これは英語学習者にとって非常によくある悩みです。「まだ単語が足りないのかも」と思いがちですが、実は問題の根本は別のところにあるかもしれません。
今回紹介する動画では、英語教師の Thiago Nigro がこの悩みの本質と、今日から試せる3つのステップを丁寧に説明しています。
Thiago Nigro ってどんな人?
Thiago Nigro は「English with Thiago」というポッドキャスト・YouTube チャンネルを運営している英語教師です。中級〜上級の英語学習者を対象に、より自信を持って・正確に・明確に英語を話せるようサポートする内容を発信しています。
実際に生徒を教えた経験をもとに語るため、教科書的な理論よりも「現場でよく起きること」に即したアドバイスが多く、実践的な視点が参考になります。
なぜ単語が「出てこない」のか:2つの語彙ボックスという考え方
Thiago は、私たちの頭の中に語彙を入れる箱が2つあると説明しています。
ひとつは受動語彙(passive vocabulary)のボックス。読んだり聴いたりしたときに「あ、知ってる」と思える単語が入っています。テストで意味を問われれば答えられるが、自分から使うことはあまりない単語群です。
もうひとつは能動語彙(active vocabulary)のボックス。話したり書いたりするとき、自然に口から出てくる単語が入っています。
Thiago はこの関係を氷山に例えています。水面に見えている部分(能動語彙)は小さいが、水面下には広大な塊(受動語彙)が隠れている——という描き方です。
多くの学習者がすでに多くの単語を知っているにもかかわらず会話で使えないのは、知っている単語のほとんどが受動語彙ボックスに眠っているからだ、というのが彼の主張の核心です。つまり、新しい単語をどんどん詰め込む前に、すでに知っている単語を能動語彙へ引き上げる作業が必要だということです。
3ステップで語彙を「使える」ようにする
Thiago が動画の中で紹介している3つのステップは次のとおりです。
exposure → activation → personalization
ステップ1:exposure(たくさん触れる)
最初のステップは、英語に継続的に触れることです。
英語を毎日の生活に取り込む——本を読む、ポッドキャストを聴く、YouTube 動画を見る、ニュースを英語で読む——こうした習慣を通じて、単語に何度も出会う機会を増やすことが基礎になります。
ポイントは「単語を複数回・時間をおいて繰り返し目にする」ことです。これはいわゆる間隔反復(spaced repetition)の考え方と一致しています。Thiago は動画の中で、Stephen King の小説「シャイニング」を読んでいたとき "shriek"(鋭い悲鳴)という単語に何度も出会い、最終的に意味を調べて忘れなくなったというエピソードを話しています。繰り返し出会うことで、単語が自然と記憶に刻まれるという体験談です。
また、読んでいる文章の中でわからない単語に出会っても、すべてを調べる必要はないと彼は述べています。大意が取れているならそのまま読み進め、特に気になった単語だけに集中する——この「レーザーフォーカス」の姿勢が大切だということです。
今日からできるアクション: 好きな YouTube 動画や英語のポッドキャストを1本選び、気になった単語を1〜2個だけ書き留める習慣を始めてみましょう。全部覚えようとせず、「これだ」と思う単語だけでOKです。
ステップ2:activation(意識的に使う)
exposure だけでは不十分です。次のステップは、学んだ単語を意識的・積極的に使ってみることです。
Thiago が説明しているのは、単語の意味を知るだけで終わらせないということ。次に英語を話す機会や書く機会があったとき、その単語を意図的に使ってみる——これが activation です。
例えば、授業や英会話クラブで新しい単語を学んだ後、次のセッションで必ず1回その単語を使ってみようと決める。あるいは、日記や短い文章を書くときにその単語を盛り込んでみる。Thiago はこれを「proactively using the word」(積極的に単語を使うこと)と表現しています。
一人で勉強している場合は、ChatGPT などの AI ツールにその単語を使った例文を30個作ってもらい、毎日1文ずつ読むのも効果的な方法として挙げられています。
今日からできるアクション: 最近覚えた単語を1つ選び、日記・SNS・メモ帳など何でもよいので、その単語を使った短い日本語→英語の文を1文書いてみましょう。
ステップ3:personalization(自分事にする)
3つ目のステップは、自分の生活や感情と単語を結びつけること——personalization(個人化)です。
Thiago によれば、単語が能動語彙に定着しやすいのは、その単語が「自分にとって意味を持つ」とき、つまり自分の日常や興味と深くつながっているときです。
例えば、ジムが好きな人なら、運動や健康に関連する単語から覚え始めると定着が早いといいます。また、新しい単語を覚えたら「この単語、自分の生活のどんな場面で使えるだろう?」と問いかけることが大切だと彼は述べています。
逆に、どれだけ exposure があっても、自分との接点がない単語はなかなか定着しません。自分のライフスタイルや趣味、仕事など、身近な文脈の中で単語を使う機会を想像することが、能動語彙への近道だという考え方です。
今日からできるアクション: 新しく覚えた単語を1つ選び、「自分の日常のどんな場面でこの単語を使えそうか」を日本語で3つ思い浮かべてみましょう。
Key Phrases:このトークで出てくる重要表現
"passive vocabulary" / "active vocabulary"(受動語彙・能動語彙)
意味: passive vocabulary は読んだり聴いたりして理解できるけれど自分から使うことは少ない語彙、active vocabulary は話したり書いたりするときに自然に出てくる語彙のことです。今回のトークでもっとも重要な区別であり、英語学習の目標は「passive を active に少しずつ移していくこと」と言えます。

使用例: My passive vocabulary is large.(聞けばわかる単語はたくさんあります。)
"exposure"(触れること・接触)

意味: 英語に継続的にさらされること、触れる機会を持つこと。語学学習では「インプットの量」に近い意味で使われます。読む・聴く・観る——どんな形でも、頭を英語の中に置いておく時間が「exposure」です。
使用例: Daily exposure helps a lot.(毎日触れることがとても役に立ちます。)
"spaced repetition"(間隔反復)

意味: 一定の間隔をおいて繰り返し復習する記憶術。時間を空けて思い出す作業を繰り返すと、長期記憶に定着しやすくなることが認知科学で確認されています。Anki などの単語帳アプリはこの原理を使っています。
使用例: Try spaced repetition.(間隔反復を試してみよう。)
Today's Challenge
今日のミニ課題です。普段あまり使わない英単語を1つ思い浮かべてください。たとえば最近の動画やポッドキャストで「あ、知ってる」と思ったけれど、自分では一度も口にしたことのない単語です。
その単語を使って次の英文を1文だけ作ってみましょう。
Write one sentence today.(今日、1文だけ書いてみよう。)
ポイントは「短くて構わない」こと。完璧な文を作ろうとせず、主語・動詞・目的語のシンプルな構造で十分です。書いたら声に出して読み、今週のうちに実際の会話かチャットメッセージで一度使ってみてください。これだけで、その単語が受動語彙から能動語彙へ動き始めます。
まとめ
「単語が出てこない」のは知識不足ではなく、受動語彙が能動語彙に移っていないからかもしれません。今日から試せるアクションは2つ——好きな英語コンテンツで気になった単語を1個だけ選んで書き留め、次に英語を使う機会に意識的にその単語を使ってみること。小さな習慣の積み重ねが、語彙の「引き出し」を確実に広げていきます。
このトークで出てきた単語をさらに深掘りしたい方は、YouTube 英単語帳メーカー で動画 URL を入力すると、CEFR レベル付きの単語帳を自動生成できます。ぜひ活用してみてください。
元動画は English with Thiago のチャンネル でご覧いただけます。