分かるのに話せない6つの原因——Thiago解説
【中級者向け】「聞けば分かるのに口から出ない」英語中級者の壁をThiago Nigroが6つの原因で解説。日本人学習者に刺さる3つの原因を深掘りし、今日から使えるアクションを紹介します。
対象レベル: 中級 / 目安: TOEIC 500〜700, CEFR B1–B2
英語のポッドキャストを聞いて内容はほぼ理解できる。ネイティブの会話についていける。でも、いざ自分が話す番になると頭が真っ白になって言葉が出てこない——そんな経験、ありませんか?これは「理解力」と「発話力」の間にある非対称な壁で、中級者が最もぶつかりやすい停滞期です。たくさんインプットしているのに話せないのは怠けているからではなく、構造的な理由があります。この記事では、その原因と処方箋を整理します。
スピーカー:Thiago Nigro と English with Thiago
Thiago Nigro は English with Thiago チャンネルを運営する英語教師・コンテンツクリエイターです。20年の指導経験をもとに B2 レベルへの到達を体系的にサポートすることをテーマに発信しており、今回の動画では「なぜ分かるのに話せないのか」というよくある悩みに6つの原因と解決策という形で答えています。字幕から確認したところ、6つの理由は次のとおりです。
- アクティブ学習が足りない
- 英語のインプット量が足りない
- スピーキングへの期待値が現実離れしている
- スピーキングの練習量が足りない
- 人前で話すことへの恐怖がある
- 母語でもそもそもコミュニケーションが苦手
本記事では、日本人英語学習者に特に刺さる 1・3・5 を取り上げます。1は「インプット偏重の学習スタイル」が日本では文化的に定着しているため、3は「完璧主義」という日本の教育環境に由来する傾向が強く、5は「人目を気にする」文化的背景が英語不安を増幅しやすいためです。
原因1: アクティブ学習が足りない——インプットと "produce" の違い
Thiago は動画の冒頭で、英語を大量に見聞きするパッシブな消費と、意図的に使う「アクティブ学習」を明確に区別しています。バスケットボールの試合を何時間見ても、コートに立ってプレーできるとは限らない——そのアナロジーを使いながら、インプットとアウトプットは脳の別の回路を使うという点を示しています。
彼が挙げるアクティブ学習の例は、特定の文法ポイントを掘り下げる、単語を認識するだけでなく自分で文を作る、英語で短い文章を書いて思考を構造化するといったものです。日本語で言えば「問題集を解く」「音読する」「自分の口で説明する」が近いイメージです。
日本人学習者への示唆: 「見て・読んで・聞いて分かった気になる」学習は receptive(受容的)スキルを鍛えるだけです。週に2〜3回、たった15分でも自分で英文を "produce"(産出)する時間を確保するだけで、スピーキング回路は動き始めます。
原因3: スピーキングへの期待値が高すぎる——完璧主義の罠
Thiago は「これは高い目標を持つ人ほどはまりやすい落とし穴」と前置きしながら説明します。母語では複雑な議論も機知に富んだ会話もこなせるのに、英語中級レベルでそれと同じパフォーマンスを自分に求めてしまう。その結果、言い方が完璧でないと感じた途端に黙り込んでしまう——self-censorship(自己検閲)のサイクルに入ります。
解決策として、彼は「ミスをしてもいい」「もっとシンプルな語彙や文構造を使ってもいい」と自分に許可を与える姿勢を推奨しています。家を建てるとき、まず土台と基本的な壁から作り、装飾は後から加える。英語のコミュニケーションも同じという考え方です。完璧さより「伝わるか」を優先するという発想の転換です。
日本人学習者への示唆: 日本の英語教育は「正確さ」を重視する傾向があります。「正しい英語しか言ってはいけない」というプレッシャーは、スピーキングを止める大きな要因です。まず「伝わればよい」にゴールを下げることが、実は上達の近道です。
原因5: 人前で話すことへの恐怖——「知識の問題」ではなく「心理の問題」
Thiago は第5の原因について「これは英語学習だけの問題ではない」と言います。実際、母語でも人前で話すことに強い緊張を感じる人は多く、英語では不確実性が加わるためその恐怖が何倍にも増幅されます。「単語を知っている、文法も分かっている、でも口の前に立つと脳がブランクになる」——それは英語力の不足ではなく performance anxiety(パフォーマンス不安)だと彼は説明しています。
彼が勧めるのは、段階的な暴露です。いきなりディベートに参加するのではなく、まず一対一の会話から始め、徐々に環境の規模と公式さを上げていく。焦点を「どう聞こえるか」から「何を伝えたいか」に意識的にシフトする——これが anxiety を下げる核心だと述べています。
日本人学習者への示唆: 「周りからどう見られるか」を意識しやすい日本の文化的文脈では、この恐怖は特に強くなります。一人で声に出して練習するシャドーイングやセルフナレーションは、この恐怖を「安全な場所」で段階的に解消する方法として有効です。
Key Phrases
このトークで学習者にとって特に有用な表現を3つ紹介します。
"freeze up"

Meaning: 緊張や不安で思考・動作が止まること。体が凍りつくイメージから来た表現。
In context: She knew the answer but froze up when the teacher called on her. After freezing up several times in meetings, he decided to practice speaking every day. Even experienced speakers sometimes freeze up when the audience is larger than expected.
(彼女は答えを知っていたが、先生に指名されると頭が真っ白になった。会議で何度も固まった経験から、彼は毎日スピーキングの練習をすることにした。経験豊富なスピーカーでも、聴衆が予想より多いと固まることがある。)
"self-censorship"

Meaning: 自分の言葉や表現を自ら検閲・抑制すること。英語では「言いたいことを言わずに黙る」状態を指す。
In context: Self-censorship often comes from the fear of making mistakes. She practiced speaking alone each morning to reduce her self-censorship habit. Over time, he learned that self-censorship was holding him back more than his grammar errors.
(自己検閲はしばしばミスへの恐れから来る。彼女は毎朝一人でスピーキングを練習し、自己検閲の習慣を減らしていった。やがて彼は、文法ミスよりも自己検閲のほうが自分の足を引っ張っていると気づいた。)
"performance anxiety"
Meaning: 人前でのパフォーマンスに伴う不安・緊張。スポーツや音楽だけでなく、語学スピーキングにも使われる。
In context: Performance anxiety is common among language learners at the intermediate level. She overcame her performance anxiety by starting with one-on-one conversations. His performance anxiety decreased as he spoke more often in low-pressure situations.
(パフォーマンス不安は中級レベルの語学学習者によく見られる。彼女は一対一の会話から始めることでパフォーマンス不安を克服した。プレッシャーの少ない場での発話を増やすにつれ、彼のパフォーマンス不安は和らいでいった。)
Today's Challenge
Read the paragraph below and record yourself speaking about it for 60 seconds. You do not need to memorize it — just try to explain it in your own words, as if you are telling a friend.
Many English learners can understand spoken or written English quite well, but they struggle to produce sentences when it is their turn to speak. This is not because they lack intelligence or talent. It is because understanding and speaking use different mental processes. Listening is passive — your brain receives and decodes. Speaking is active — your brain must retrieve, organize, and produce language in real time. To improve, you must practice the active skill directly. Start small. Talk to yourself. Record your voice. Make mistakes. That is the only way the gap between understanding and speaking gets smaller.
(英語学習者の多くは英語を聞いたり読んだりして理解することはかなりできるのに、自分が話す番になると文が出てこないという壁に直面します。これは知性や才能の問題ではありません。理解することと話すことは、異なる脳の働きを使うからです。リスニングは受動的で、脳は受け取って解読します。スピーキングは能動的で、脳はリアルタイムで言葉を取り出し、まとめ、産出しなければなりません。上達するには、その能動的なスキルを直接練習する必要があります。小さく始めましょう。自分自身に話しかけてください。自分の声を録音してください。間違えてください。それだけが、理解と発話のギャップを埋める唯一の方法です。)
まとめ
インプットは大切ですが、それだけではスピーキング力は育ちません。今日からできることは二つです。毎日15分、声に出す時間を作ること。そして「完璧に言えなくても話す」という許可を自分に与えること。語学は筋肉と同じで、使わなければ鍛えられません。
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元動画は English with Thiago のチャンネル でご覧いただけます。